安易な値下げについて

日本の経済成長は終わった
にもかかわらず
「頑張ればなんとかなる」
という考えを抱いてる人が
まだ多くおられます。

確かに、1970〜80年代は
日本全体が活性化し
経済成長してましたので
競争相手より頑張れば
なんとかなる時代でした。

ですが、
そんな時代は終わりました。

これからは
「どのようにやればいいか」
「いかにすれば良いか」
という戦略(ビジネスモデル)が
重要になります。
そのために
「何が重要なのか」を
考えねばなりません。

「目的」
「プロセス」
「方法」
この3つが重要といわれます。

さらに
まだ『答え』は分かりません。
というか
複数の『答え』の中から
最も適した『最良の答え』を
見つけ出さねばなりません。

それが決まらなければ
何も始まりません。


バブル崩壊で売れなくなったから
安易な値下げに踏み切ったことで
失敗に陥ったケースは多くあります。

低価格で小売店に納品すれば
末端の消費価格も低く設定できる
という考え方を
未だに抱いてる方がおられます。

(1)低価格にすれば現在より大量に売れる

(2)大量に売れれば大量生産が可能になる

(3)大量生産することで原価を低くできる

(4)低価格で販売しても利益が確保できる

(5)小売りのスーパーに対し強い交渉力が維持できる

(6)消費者価格を低く抑えるように小売店に要求できる

このようなバブル期の経験を
抱かれたビジネスマンがおられます。

・卸売価格を20円下げれば
・末端価格も20円下げてもらえる
という前提が今の時代に通用するのか?

卸売価格が180円で
末端消費者価格が200円の場合
100個を売ればマージンは
20円×100個=2000円です。

卸売価格が20円下がり
160円になった場合
末端価格を現在価格の200円に
据え置けばマージンは
40円×100個=4000円になります。

ですが
末端価格を20円下げて180円にすれば
4000円のマージンと同額を
確保するには200個を
売らねばなりません。

ですが、200円だった末端価格が
180円に下がったからといって
2倍も売れる保証があるのか?

それに
低価格で納品すれば
末端の消費価格も下がり
より多く売れると考えるのは
単純すぎます。

確かに、消費者価格が下がれば
多く売れる場合もありますが
そうなるには
いくつかの条件が満たされて
なければなりません。

どのような条件が満たされた時に
そうなるのか?

それを今の時代に合わせて
検証することが大切です。

「時代は変わった」
ということを先ず最初に
理解しなければなりません。

競合他社の存在もあります。

卸売価格を20円下げたら
競合する相手は
どのように対抗してくるか?
それも考えねばなりません。

その戦略として
「目的」「プロセス」「方法」
が重要と前述しました。

たとえば
ユニクロ設立の「目的」は
いつまでも飽きない服を
手頃な価格でお客様に届ける
ということでした。

そのための「プロセス」が
流行を追うのでなく
何年経っても飽きない
ベーシックな定番品を
販売することでした。

その「方法」として
繊維メーカーと共同して
素材から作ることを
重視されました。

さらに
良質な商品を作るため
他人任せにせず
自社で作って商品クオリティーを
自社でコントロールすることに
されました。

ユニクロの担当者は
老若男女すべての消費者に
大量販売を仕掛けるため
品揃えにこだわった
といわれます。

ポロシャツにしても
色やサイズを豊富に揃える
システムを採用されました。

20〜30代の女性に
お手頃な値段で買える服を
届けることを目指されました。

そのために
自社の商品企画部と
連携する外部デザイナー制度を
採用されました。

消費者と販売側が同じ目線で
商品チェックするシステムを
構築された結果
売れ残りを出さなくなり
いつも売れ筋商品だけが
店舗に並ぶようになりました。

接客には顧客と同じ感覚を持った
同年代の女性販売員を配置され
顧客情報を取り入れやすくされました。

その結果
流行の読みが可能になり
売れ残りが減るようになり
お手頃な価格で販売できる
体制が整ったといわれます。


あくまで私個人の考えにすぎませんが
スマホなどネットの普及で
時代の変化が速くなり
10年前の経験則が
通用しなくなりました。

なのに過去の成功に固執執着され
過去に成功した考え方で
未来を見てる人が
たまぁ〜におられます。

フロントを見てるつもりでも
バックミラーに映る過去を
見てるだけかもしれません。

そのような人に限って
他の人が上手くやってるビジネスは
敏感に反応され、ウワベの部分だけ見て
マネしようとされます。

ですが、ウワベ部分の下には
長年に渡って積み重ねられた
努力、知恵、斬新な知識などの
隠れた部分が山ほどあると思います。

外から見えるのは
氷山の一角にすぎない
のではないでしょうか。

ウワベを見られ
それが全部と勘違いされ
氷山の一角だけマネされても
上手くいくはずありません。

商品が売れなくなったから
安易に値下げされるのと
同じではないでしょうか。

結局は
上手くいきませんから
また別の人が上手くやってる
別のビジネスを見つけられ
同じようにマネされます。

基本となるビジネス戦略が
何もありませんので
仕方ありません。



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