ココだけの話 Part2



Part3 (その1)

多分、私は『人間が嫌い』かもしれません。
「特定のアイツが嫌い」というのじゃなく、
"人間が嫌い" かもしれません。

サラリーマン時代の頃、
『5時から男』という言葉が流行りました。
そんな人の5時までの仕事ぶりは
完全にバカにしてました。

また、
部下の人間性にまで踏み込んで、人格軽視したり、
上司の命令は服従して当然という先輩も嫌いでした。

「人間関係を作る上で コミュニケーションは大切」
と言われるのは分からなくありませんが、
会社など組織内で、円満な人間関係を作れば、
『相手から信頼され、相手を信用できるのか?』 
そんなことは、絶対に無理と思ってました。

夜の宴会で、皆んなと仲良く語り合えば、
円満な人間関係が構築され、仕事にプラスになると
言われましたが

どこを どうすれば、プラスにできるのか? 

私は分かりませんでした。
時間とお金を費やし、個人的に楽しまれるだけで
仕事とは何の関係もない『遊びの場』にしか
私は見えませんでした。

"仕事は仕事、遊びは遊び"

と割り切って、お付き合いすれば充分と思ってました。
だけど、そんな割り切った態度は
「社員同士の和が乱れ、組織の機能が保てない」
と上司から指摘されました。

夜の付き合いを断れば、
なぜ 本業の仕事にマイナスとなるのか? 
分かりませんでした。

そんな私でしたから、組織社会から見れば
異端児の厄介者だったと思います。
そして、何の役にも立たないというレッテルを貼られ
組織から追い出されたと思います。

「付き合いを重ねれば、同僚とか先輩から
 信用してもらえる」

と言われますが、だったら、

『1000万円を借金するから、連帯保証人になって欲しい』
と頼まれたら、アナタはサインできますか? 
どんなに あがいても、その程度の信頼関係しか
構築できないことくらい、お分かりのはずです。




20年ほど前、
『新規就農したい』という都会に住むサラリーマンに
会いました。
農業関係の行政機関と相談して、彼を受け入れることに
なりました。
ですが 私は指導するほどの技量も経験も無かったので
近くの先輩農家さんに『弟子入り』を お願いしました。

その専業農家に弟子入りされ、農業のイロハを学ばれ
その後、独立して農業経営されたほうが堅実というのが
一般的で、それは今も変わりません。

ちょうど その頃、当地域で農業補助事業が施行され
農業生産するための栽培施設を建設する場合、
補助金支給される制度があり、当たり前ですが
彼も「補助制度を利用したい』と願われました。

ですが
補助制度を利用するには、当地域内の専業農家の
連帯保証が必要でした。
借入資金を返済する連帯保証制度です。

もしも万が一 、彼が途中で農業を放棄すれば
借入返済金の残り期間は、連帯保証人が
資金返済と施設運営の責任を負います。

といっても 彼の場合、資金面において、
返済資金相当額の預金があり、
その預金を担保にすれば、
資金問題は解決できます。

ですが、彼を弟子にて受け入れた先輩農家さんは、
下記のように言いました。

「お前に頼まれたから、弟子として受け入れたにすぎない。
 連帯保証人になるつもりはない。
 彼は一人前になったから、後は、一人でやればいい」

師匠の先輩農家さんが、連帯保証人になるのが
当時は、暗黙の了解事項でしたので、
先輩農家さんは先手を打ったのでしょう。

『お前が連帯保証人になるべき』

最初から彼の連帯保証人は、私が受けるつもりでした。
ですが、なんとも言えない気分になりました。
弟子になった彼は、約1年間 ほぼ毎日、
『無給で働く弟子』でしたが、
あっけない幕切れでした。

『で、何が言いたいの?』
と思われる読者さんが、おられるかもしれません。

約1年間 ほぼ毎日、"弟子"として師匠の下で
『無給で働いた』のですから、
彼の『人となり』くらいは、師匠である先輩農家さんは
理解できたはずと思ってました。

彼を信頼できるか?
連帯保証するに相応しい人間か?

それを見極める時間も機会も、充分すぎるほど
あったはずですが、結論から言えば
師匠の先輩農家さんは
"彼を信用してなかった"となります。





『1000万円を借金するから、連帯保証人になって欲しい』
と頼まれたら アナタはサインできますか? 

『師匠と弟子』という関係で、約1年間 ほぼ毎日、
付き合っても、それでも。金銭や利害関係が絡めば
どんなに仲の良く付き合っても、

他人にすぎない

という現実を嫌というほど見てきました。
そして 私は『人間が嫌い』になったかもしれません。


Part3 (その2) へ続く





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