大都市近辺の農業ビジネス

日本の農業政策といえば
補助金を湯水のごとく支給する
いわゆる国策事業になってます。

ですが、農家に情報提供したり
販路仲介などの斡旋などを施したり
金銭に頼らない政策は
チョット考えれば、いくらでもあります。

それに、大都市近辺の農家は
農業所得が少なくても
『お金に困らない=お金持ち』
という現実があります。

マンションや賃貸住宅を建てられ
不動産収入があったり、
ほとんどの農家は兼業で
サラリーマンされています。

それでも
農家を続けられているのは
「親から継いだ農地を
 手放したくない」
という理由です。


東大阪市は2009年から
「ファームマイレージ2」という
農協の直売所を介して
生産者と消費者をつなぐ活動を
始められました。

市内の農業と農地を守る目的で
地産地消に取り組まれています。

東大阪市は、
地元の農産物を購入する利点を
市民の方々は本当に実感されてるのか?
という疑問を抱かれてました。

その疑問を解決するカギが
農産物のブランド化でした。
といいましても
産地をブランド化するのは簡単でなく
難しかったといわれます。





そこで東大阪市は
農産物の品目は限定せず
『東大阪市のエコ農産物』という
コンセプトを打ち出されました。

もともと大阪府には
「大阪エコ農産物」
という制度がありました。

化学肥料や農薬使用について
大阪府が作物ごとに基準を設け
クリアした農産物を認証する制度です。

東大阪市は、認証された生産物に
「エコ農産物認証シール」を貼って
農協直売所で販売されました。

消費者のメリットとして
「エコ農産物認証シールを50枚集めると
 300円分のエコ農産物プレゼント」
という特典を採用されました。
キャシュバック率は4%とお得な水準です。
さらに、
シールが50枚になった消費者には
感謝状を授与されました。

感謝状には
「あなたが購入された東大阪市産農産物の
 生産面積が5uに達しました!」
と書かれています。



感謝状が10枚溜まれば表彰状と
地元特産品が提供されました。

その表彰状は
「ファームマイレージが50uに達した功績に
 感謝し表彰します」と書かれています。


消費者はエコ農産物を買われることで
近隣農地の保全に貢献されたことが
実感できます。

消費者は近辺の農地を毎日のように
見てますので、環境に優しい農業で
地元が守られていることが分かります。

また、エコ農産物認証シールに
生産者名や連絡先を書かれました。

農産物が『美味しい』と感じた消費者は
生産者に「また作ってね」などと
電話を掛けられるようになりました。

見ず知らずの消費者から
「美味しかった」
という電話が掛かってくれば
生産者は嬉しいです。
「農家をやってて良かった」
と農家さんは目を輝かされます。





さらに農協の直売所ですから
生産者が受け取る金額は
市場出荷に比べて約2倍の
マージンになります。

利益率が高ければ
生産者は手間をかけて
良い農産物を作ろう
という気持ちになります。

直売所のPOSレジの
データによれば開始前の
2008年度の売り上げは約5400万円で
エコ農産物の比率は18%でしたが
2015年度には
売り上げが約1億1500万円で
エコ農産物の比率は61%に
なりました。





東大阪市の隣の農家さんは
「あそこは市が積極的だから」
と溜息交じりに言われます。

このように
税金をほとんど使わず
農家を補助することは
やろうと思えば
いくらでもあります。

なぜ、やらないのか?

その理由については
過去に下記のような体験をしています。
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農協直営店がオープンする時代になり
数年前から私が取り組もうとしていた
『市場外取引』
を批判されていた先輩農家さんも、
180度転向され
『市場外取引』
の農協直営店に出荷されるという
時代になりました。

世の中が変われば
ご自身も変わらねばなりませんが、
『市場外取引』
を批判されていた先輩農家さんの
言い訳は、農協がやり始めたから
という理由でした。

それまで批判されてたのに
『農協がやれば、自分もする』
という理屈は、なんと言えばいいのか・・・
勝手な言い分に呆れました。

ですから、私は『市場外取引』に
取り組む時期が数年ほど早かった。
それだけの理由で
先輩農家さんは私が取り組もうとした
『市場外取引』
を否定されていたと思ったりします。

世の中が変化しても
人間の『考え方』は
変わろうとしません。

変化しようとすれば
必ずと言っていいほど
昔の『思考』を保守する勢力が
潰しにかかってきます。

『市場外取引』に取り組もうとする
理由なんて、私に聞こうとせず
ただ闇雲に批判されていただけでした。

ですが
私は変化すべきタイミングが
誰にもハッキリ分かるような時期に
なってから変化しても
遅すぎると思ってました。

日本各地の農協が始めたら
私を批判されていた先輩農家さんは
まるで当然のように
『市場外取引』
を始められました。





※詳しくはコチラに書いてますのでクリックしてください。



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