田舎のパソコン教室の生徒さんの募集

20年くらい前の昔話ですが
パソコン教室の社長(オーナー)と
親しくなりました。

仕事で通ってる道路沿いに
パソコン教室がオープンしました。
生徒になるつもりはなかったのですが
興味本位で立ち寄りました。

ですが、
パソコン教室は閑散としていて
生徒さんが全然集まらなく
社長さんは悩まれてました。

山奥の田舎でしたから
生徒さんが来られないのも
無理はありません。

経営の内情まで聞いてしまって
じゃあ、山奥のパソコン教室でも
生徒さんを集客するには
どうすればいいのか?
社長さんとともに考えるように
なりました。

社長さんとお話しするうちに
新聞折込チラシの内容しか
インストラクターの対応などについて
教室の生徒さんをシニア向けに
改変されたらいかがでしょうか?
と社長さんに提案しました。

当時の教室経営は授業料の一部が
補助金で賄われる制度がありました。
ワード、エクセルなどの資格取得とか
仕事に必要な方々がパソコンを習う
というのが 一般的なシステムでした。

ですが、私が提案したのは
"学ぶこと"を目的とした方式でしたので
授業料の一部を補助する制度の対象に
なりません。





当時は数年後に、
団塊世代の数百万人がリタイアされ
現役引退後のセカンドライフに
世の中の関心が集まってました。

田舎のシニア(お年寄りさん)は
田畑で農作業されるイメージですが
ほとんどは家で新聞とかテレビを
見られたりして、慎ましく静かに
暮されています。

パソコンの技術向上を目指すより
第2の人生を楽しみながら研磨する
という主旨を目的とした教室運営を
社長さんに提案しました。

生徒さんが通いやすいように敷居を低くして
授業が終わっても居心地の良い雰囲気を
教室に醸し出す教室運営です。

たとえば、旅行から帰られた生徒さんの
お土産を他の生徒さんと食べながら
コーヒーカップを片手に談笑される
"空間と時間"をパソコン教室に
創造するというシステムです。

ですから、
教室の立地は街の中心部でなくても
というか、
パソコン教室に通われるシニアの方は
ドチラかといえば目立たない場所で
他の人の視線を受けない田舎のほうが
通いやすいのではと考えました。

そのような経緯がキッカケになり
10数年前に、私の仮説の実証も兼ねて
田んぼの真ん中でパソコン教室開校を
私はお手伝いしました。
といいましても
私の所有する倉庫を改造した教室です。


私の提案にうなづかれた社長さんは
生徒さん募集のターゲットを
シニアに絞って、新聞折込チラシから
教室のレイアウトやインストラクターの
対応マニュアルまでシニア向けに
変えてみようと決められました。





団塊世代のシニア層については
当時から話題になってましたが
田舎のお年寄りは農作業したり
ゲートボールされる比率は
そんなに多くありません。

それに、
毎日のように農作業される方も
確かにおられますが
ほとんどは何もされていません。

外に出られて農作業されたら
遠くから見えますが
どんなに見通しの良い田舎でも
家の中まで見えません。
ひっそりと暮されているお年寄りが
かなりの割合でおられます。

そんな慎ましく暮らされているシニア層に
新たな生き甲斐の「場」として
パソコン教室に通ってもらうことを
主目的としました。

パソコンの技術向上を目指すより
多くの生徒さんとともに第2の人生を
楽しまれる憩いの場です。

先ず最初に手掛けたのは、
パソコンというだけでお年寄りさんは
"敷居が高い"と感じられますので
それを払拭することにしました。
敷居が低くなれば教室に来られる確率も
高まると推測しました。

そもそも 「パソコンを習う」という
立派な大義名文がありますので
世間体も整っています。

そのようにすれば真面目で几帳面な
お年寄りさんは好印象を持たれる
と思いました。

田舎のお年寄りは田んぼで農作業
というイメージで見られがちですが
ほとんどはテレビを見られてるだけで
田舎も都会も変わらないと思います。

ですが、大きな違いがあります。
都会にはお年寄りが時間を費やす
カルチャー施設が多くありますが
田舎にはありません。 

あるにはありますが、
なじめないスマートなお年寄りが
たくさん居られます。
というか
都会も田舎もスマートなシニアさんが
ほとんどです。

いろいろ調べた結果、
カルチャースクールビジネスは
街の中心部が有利とは限らなく
シニア向けパソコン教室に
立地は関係ないことも分かりました。

といっても、さすがに開校当初は
生徒さんが集まりませんでしたが
口コミで教室の雰囲気が知れ渡り
人が人を呼ぶ方式で生徒さんが
少しずつ増えました。

見渡す限りの田んぼの真ん中で
パソコン教室を開校しましたが
毎日数十名の生徒さんが通われるように
なりました。
「習う」という大義名文もあり
スマートなシニア層が多かったように
感じました。


今から思えば田舎のパソコン教室に
通われるお年寄りさんは
ドチラかといえば物静かな人達が
多かったように思います。

仕事に必要だから学ぶと言う
"当時の常識"をくつがえして
パソコンを学ぶことを目的にした
パソコン教室にしたのが
成功理由の一つと思っています。


私は、ある事情で
数年間だけお手伝いした後、
教室運営から退きましたが
社長さんが経営するパソコン教室は
かなり有名なパソコン教室に
なられました。


※ご参考
団塊世代のマーケティング


目次に戻る