これからの農業ビジネスについて (その2)

農林水産省は雇用と所得を確保し
若者や子供も集落に定住できる社会を構築するため
農林漁業の生産と加工販売の一体化や
地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するなど
農林漁業の6次産業化を推進しています。



農業の6次産業化とは
@生産
A加工
B販売
を農家が取り組むことを指します。

たとえば
白菜を浅漬け加工する。
酪農家がソフトクリームの製造販売する。
ミカン農家がジュースに加工販売する。
農産物を調理してレストラン経営する。
生産した大豆で味噌作りする。
見た目が悪くて売れない野菜を漬物加工する。

このように、
農産物の加工販売までを
『6次産業化』と称して
農水省は薦めています。

と言いましても
すでに取り組まれてる農家さんも
多数おられます。
というか
昔の農家は自家製漬物や味噌を
作ってました。

それを事業として位置づけ
農業収入を上げようと
農水省は新たな旗を振り国策として
推進すると決めました。

国家による政策ですが
減反や飼料米の拡大など
農水省が推奨した事業は
失敗策とみられる例は
数多くあります。

ですから6次産業化も
安易に取り組んではいけません。

国家が旗を振るということは
多くの農家が一斉に"動く"ことを
意味します。
全国の農家が加工食品に手を出し
一斉に販売されれば
自ら作った加工食品と宣伝しても
珍しくもなんともありません。

他人がやってないことに
リスクを抱えて取り組み
他に無い新商品を製造し
差別化することで売るのが
新規ビジネスです。

ですからこのような危なっかしい
『6次産業化』に乗っかるには
覚悟が要ります。

なのに国家は、なぜ農業を
6次産業化しようとするのか?

要因としては
収入の安定化と思います。
一般的な専業農家の収入は
市場価格に左右されますが
農産物を加工して販売すれば
価格変動が小さくなりますので
安定収入が見込めます。

単価の安い作物を売るより
加工して付加価値をつけて
単価を高くできるメリットが
あります。

家族経営型農家が業務を
拡大させるには、従業員を
雇わなければなりません。
ですが、
気候や天候に左右される農業は
9時〜17時の勤務で土日休み
のような固定勤務は難しいです。

農繁期の忙しい時期は
夜遅くまで残業せざるを得ません。
逆に
冬場の閑散期は従業員の仕事が
なくなります。

雨が降れば外仕事は休みとなり
台風が来る前は徹夜作業になる
こともあります。

農水省の目論見は
農業を6次産業化することで
仕事が定期的に確保でき
従業員を雇うことができる
と考えているのでしょう。

家族経営から法人化へと
ステップアップするには
6次産業化によって可能となる
と思っているのでしょう。

そこに農水省が目を付けた
のではないでしょうか。

といいましても
加工なら衛生や食品管理の知識が
必要になります。
技術的なノウハウも習得せねば
なりません。

専門としてやっておられる
既存業者と競合しますので
素人の農家が勝てるのか?

とことん考えなければ
ならないと私は感じます。

販売も同じです。

農家が直接販売して
専門業者に勝てるのか?
突き詰める必要があります。

このように農家が6次産業化して
加工販売にまで手を出すことは
既存業者のテリトリーに踏み込む
ことになります。

未知の世界で既存の専門家と
勝負しなければなりませんが
簡単に上手くいくと思われません。


(その3)へ続く


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